物語の象徴である「邪王真眼」という痛烈な設定。一見すると、単なる思春期特有の「中二病」的なおふざけや奇行に思える。しかし、『中二病でも恋がしたい!』のストーリーが進むにつれて明かされる真相は、視聴者の胸を強く締め付けた。
彼女がこの破天荒な世界観に固執していた最大の理由は、あまりにも受け入れがたい現実——最愛の父の急死だった。残された家族が直面する悲しみから逃れ、自己の心を崩壊から守るための自己防衛本能こそが「邪王真眼」の正体である。かつて富樫勇太が演じていた「ダークフレイムマスター」の姿に救いを見出した彼女は、妄想の鎧を纏うことでしか父親の死という冷酷な現実に対峙できなかったのだ。
京都アニメーションの圧倒的な作画クオリティによって描かれる派手な魔法陣やエフェクト満載のバトルシーンは、六花の主観視点における「切実な心の防壁」そのものである。だからこそ、カメラが現実視点に切り替わったときの「公園で傘を振り回すだけの少女」という残酷なシュールさが、一層の切なさを際立たせる。