主人公・小磯健二が鼻血を流しながら、世界のアカウントと人類の未来を背負ってエンターキーを押し込むクライマックス。あの伝説的なシーンの緊迫感は、声優を務めた神木隆之介のアフレコ時の鬼気迫る演技によって生まれた。当時まだティーンエイジャーだった神木は、酸欠状態になりかねないほどの熱量で叫びを繰り返し、土壇場に追い詰められた少年の極限状態を見事に体現している。
制作を手掛けたマッドハウスのスタッフ陣は、キーを打つ指先の一コマや、画面に走るノイズのタイミングに至るまで、カット刻みの作画で狂気をはらんだ緊張感を構築した。のちに細田守監督がスタジオ地図を立ち上げる前夜、アニメーション表現の限界突破に挑んだ職人たちの執念があの一瞬に凝縮されている。ただの決めセリフではない。あれは、無力な高校生が世界の理不尽に対して叩きつけた、唯一にして最大の宣戦布告だったのだ。