「えもすれば」と「すれば」の最大の違いは、前提となる条件の不確実性にある。「すれば」は「AすればB」のように、Aという条件が比較的明確に想定されるのに対し、「えもすれば」はAの実現可能性そのものが不確かであるというニュアンスを含む。文法用語で言えば、「すれば」は確定条件、「えもすれば」は不確定条件もしくは仮定条件に分類される。
類語としては「もしかすると」「ひょっとすると」「あるいは」「場合によっては」などが挙げられる。ただし「えもすれば」には、これらの類語にはない独特の含みがある。それは「本来は実現が難しいが、もし実現したら」という含意だ。たとえば「えもすれば優勝できる」と言えば、単に「優勝するかもしれない」よりも、優勝のハードルが高いというニュアンスが加わる。
方言との関係も興味深い。西日本各地には「ええとすれば」「えもせば」といった類似表現が存在し、特に九州北部では「えもすれば」を「〜したら」の意味で使う地域がある。ただし標準語としての「えもすれば」とは意味が異なるため、混同には注意が必要だ。