語源に遡ると、英語の「incredible」は「in-(否定)」と「credible(信用できる)」が合体した構造を持つ。直訳すれば「信じられない」「信用しがたい」というネガティブに近いニュアンスがベースにあった。しかし、時代を経て人の心が動く「信じられないほどの素晴らしさ」を表現する形容詞へとドラマチックな変貌を遂げた。
19世紀の文学表現から現代のジャーナリズムに至るまで、驚きを伝える表現のグラデーションは常に変化してきた。目の前で起きた事実があまりにも衝撃的で、脳の処理速度が追いつかない。そんな心理状態をストレートに射抜く言葉として、この表現は英語圏の文化に深く根を下ろしている。