地方の過疎化や後継者不足により、各地の伝統工芸産業は今、存続の危機に瀕している。しかし、その一方で、若者世代や海外のデザイナーを中心に、民藝の思想を取り入れた新しいものづくりの波が広がっている。
NHKをはじめとするメディアでも特集が組まれるなど、工業製品の均一性に疲弊した消費者が求めているのは、手仕事のぬくもりとストーリーだ。柳が称賛した無名の職人たちの手技は、単なる過去の遺産ではない。使い込むほどに味わいを増す道具は、資源を使い捨てる現代のライフスタイルに対するアンチテーゼとして機能している。用の美とは、飾るための贅沢ではなく、日々の暮らしを慈しむための実用的な知恵なのだ。