『風の谷のナウシカ』以降も、スタジオジブリ作品には数多くの魅力的な航空機が登場する。『天空の城ラピュタ』のフラップターやタイガーモス号、『紅の豚』のサボイアS.21、『風立ちぬ』の九試単座戦闘機。これらの作品に通底しているのは、飛行という現象に対する偏執狂的とも言える情熱だ。
宮崎作品における飛行機は、単なる便利な移動手段ではない。風を受け、エンジンが熱を持ち、金属板が軋み、リベットの1本1本に荷重がかかる「生きた機械」として描かれる。空力的な不完全さや操縦の難しさをあえて描写に取り入れることで、観客は画面越しにG(重力加速度)を感じ、風圧を肌で錯覚する。
徳間書店から刊行された数々の設定資料集や絵コンテを紐解くと、機体内部のフレーム構造から配管の取り回し、燃料タンクの位置に至るまで、画面には映らない細部まで設定が詰め込まれていたことがわかる。この狂気じみたディテールの積み重ねこそが、何十年経っても色褪せないジブリ作品の強固な骨格を形成している。