だが、輝かしいトレンドの影には無視できない医学的リスクが潜んでいる。都内で開業する歯科医師の佐藤哲也氏は、「ここ1〜2年で、上唇小帯ピアスに起因する歯茎の損傷や歯周トラブルを訴える若い患者が増加している」と口を揃える。
上唇小帯は非常に薄くデリケートな組織であり、金属パーツが常時前歯の歯茎やエナメル質と擦れ合う状態が続く。これにより、わずか数か月の着用で歯茎が下がる「歯肉退縮」を起こしたり、歯の表面が削れて知覚過敏を引き起こすリスクが高いのだ。一度下がりきってしまった歯茎は自然に元に戻ることはなく、外科的な歯肉移植手術が必要になるケースも珍しくない。