『鬼滅の刃』に登場する数多くの鬼の中でも、最強の格を持つ上弦の壱の正体は、戦国時代に武家の長男として生を受けた継国巌勝(つぎくに みちかつ)です。そして、その双子の弟こそが、鬼舞辻無惨をあと一歩のところまで追い詰めた伝説の剣士・継国縁壱でした。
巌勝の人間時代の過去は、弟への劣等感と嫉妬に彩られています。当時の武家社会では双子は不吉とされ、生まれつき額に奇妙な痣を持っていた縁壱は忌み子として冷遇されていました。一方、後継ぎとして厳格に育てられた巌勝は、物静かで大人しい弟を憐れみ、自作の「笛」を与えて気にかけるなど、幼少期は兄らしい情愛を抱いていました。
しかし、その均衡は縁壱が初めて握った木刀で武芸指南役を一撃で昏倒させた日に崩れ去ります。縁壱は生まれながらにして「透き通る世界」を見通し、超人的な身体能力を持つ天賦の才の持ち主だったのです。弟の底知れぬ才能に恐怖と激しい嫉妬を抱いた巌勝は、家督を巡る葛藤の中で出家した弟と離別することになります。
年月が経ち、家庭を持ち侍として平穏に暮らしていた巌勝の前に、鬼に襲われた彼を救う形で再び縁壱が現れます。圧倒的な強さを誇る「日の呼吸」の剣士へと成長した弟の背中を追うように、巌勝は妻子を捨てて鬼殺隊に入隊。「月の呼吸」を編み出し、弟と肩を並べようと血の滲むような鍛錬に身を投じることになります。