『豚と軍艦』(1961年、今村昌平監督)で見せた、米軍基地の街・横須賀で愚連隊として生きる青年の滑稽さと哀愁。あるいは『しとやかな獣』(1962年、川島雄三監督)での毒のある軽妙さ。長門裕之の真骨頂は、どんな監督の色彩にも染まりながら、決して自身の存在感を失わない「カメレオン俳優」としての柔軟性にあった。
昭和の映画産業が斜陽期を迎えると、彼はすぐさまテレビドラマの世界へと活動の場を広げた。サスペンスドラマの悪役から、ホームドラマの人間味溢れる父親役、さらには時代劇の重厚な重臣まで、彼が演じた役柄の数は計り知れない。媒体が変わろうとも、スクリーンやブラウン管の向こうにいる観客を魅了し続けたのは、彼の中に息づく「活動屋」の魂そのものだった。