被告の人生が暗転した根本的な要因として、その壮絶な生い立ちと家族の崩壊劇が挙げられます。かつての家庭環境は、決して最初から貧困だったわけではありません。
建設会社を経営する父と裕福な母の間に生まれ、幼少期は比較的恵まれた環境で育ちました。被告自身も優秀で、県内有数の進学校である奈良県立郡山高等学校を卒業。同級生からは「穏やかで勉強熱心な生徒」として記憶されていました。しかし、その裏で家庭は音を立てて崩壊へと向かっていました。
実父の自死、そして長兄の小児がん闘病という過酷な悲劇が相次ぐ中、精神的に追い詰められた母親がすがりついたのが新興宗教でした。母親の狂信的な傾倒が、残された家族をさらなる奈落へと突き落とすことになります。