厚生労働省の最新集計によれば、今年度の参列遺族のうち、戦没者の妻の参列は過去最小を更新し、わずか数名にとどまった。参列者の平均年齢は80歳を超え、会場に足を踏み入れる遺族の過半数が「戦争の記憶を持たない世代」である孫やひ孫、玄孫たちだ。
「父の顔も声も知りません。ただ、母が一生をかけて守ろうとした家族の記憶を絶やしたくなくてここに来ました」。参列した70代の男性はそう声を落とす。直接の体験を持たない世代が遺族代表として追悼の辞を述べる場面も増えており、武道館に漂う空気は「悲しみの共有」から「受け継いだ重責への戸惑いと覚悟」へと明確に変化している。