胎児に対する放射線の影響は、被曝した時期(妊娠週数)と受けた線量の両方に強く依存します。医学研究によって確立された放射線被曝と妊娠初期リスクの関係性は次の通りです。
受精卵が着床するまでの「着床前期(受精後約2週間未満)」に高線量の被曝を受けた場合、細胞分裂が停止して流産に至るか、あるいは完全に修復されて正常に発育するかの「全か無かの法則」が働きます。奇形として生まれてくるリスクが問題となるのは、胎児の主要な臓器が形成される「器官形成期(妊娠2週〜8週頃)」です。
この器官形成期であっても、奇形が発生するリスクが高まる被曝線量のしきい値は100mSv(0.1Gy)以上とされています。一般的な胸部X線検査(約0.05mSv)や腹部CT検査(約5〜10mSv)を1回受けた程度では、この危険ラインには到底届きません。
自然妊娠であっても、いかなる要因とも無関係に約2〜3%の確率で先天性異常(奇形)は自然発生します。100mSv未満の被曝環境において、この自然発生率を有意に押し上げるエビデンスは世界中どこにも存在しません。