「腕立て伏せは全身運動だ」という説は半分正しく、半分は危険な誤解を孕んでいる。腕立て伏せ(プッシュアップ)は主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部を酷使する「押し出す」動きだ。しかし、この動作ばかりを毎日100回繰り返すと、身体の前後の筋肉バランスが極端に偏り始める。
都内のスポーツ整形外科医は次のように証言する。「連日の過剰なプッシュ動作により、肩甲骨が前に引きずられて『巻き肩』が悪化し、肩峰下インピンジメント症候群を発症する患者が目立ちます。肩のインナーマッスルである腱板が骨と挟み込まれ、慢性的な激痛に苛まれるのです」。背筋群を鍛える「引く」動作を伴わない偏った高頻度トレーニングは、理想の体型どころか、姿勢の崩壊と不可逆的な関節障害を引き起こす原因になり得る。