いま日本の農業は、歴史的な転換期を迎えている。農林水産省が公表する統計を見ても、農業従事者の高齢化と担い手不足は深刻さを増す一方だ。大規模化やスマート農業を推進する農業・アグリビジネスが進化を遂げる一方で、個人の手による持続可能な小規模農業の価値もまた、見直されつつある。
リモートワークの普及を機に地方移住・スローライフへ踏み切る都市住民が増加する中、渡邊氏が積み重ねてきた実践記録は極めて実践的な教科書となっている。理想だけでは乗り越えられない農地の管理や地域社会との関係構築、天候リスクへの向き合い方など、長年の試行錯誤から導き出された知見は、地に足のついた地方暮らしを目指す人々にとって貴重な示唆に満ちている。