事件の「実行犯」に焦点を当てるか、それとも「事象そのもの」を描写するか。ここにも明確なジャーナリズム上の線引きが存在する。
「Suicide Bomber」という名詞は、身に帯びた爆発物を破裂させた個人の存在を強烈に印象付ける。警察の捜査発表や裁判資料、個人のバックグラウンドを追う人物ルポルタージュで好まれる表現だ。一方、組織的な関与や戦略的背景を分析する解説記事では、個人の属性を強調しすぎない「Suicide Attack」という表現が好まれる。犯人個人の異常性に焦点を当てるのか、構造的なテロリズムの脅威を伝えるのか。単語の選定一つに、メディア側の冷徹な編集方針が反映されている。