長年親しまれた東横INN新潟古町がなぜ閉館に至ったのか。ホテル業界関係者の証言や当時の市況データを分析すると、主に3つの構造的な要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、新潟駅周辺へのビジネス・観光拠点の急速なシフトです。新潟駅の高架化工事や駅ビル「CoCoLo新潟」の大規模リニューアルをはじめとする駅周辺の再開発が進んだことで、宿泊客の行動動線が駅直結・徒歩圏内へ大きく偏重しました。古町エリアは新潟駅から路線バス(萬代橋ライン等)やタクシーで約5〜10分の距離にあり、新幹線利用のビジネス客にとって移動の手間が敬遠される傾向が強まりました。
第2の要因は、新型コロナウイルス感染症拡大による出張需要の激減と固定費圧縮です。2026年春以降、全国的な移動制限によりホテルの稼働率は一時20〜30%台まで落ち込みました。チェーン全体で収益構造の抜本的見直しが迫られる中、賃貸借契約の更新時期が重なった拠点から順次撤退する経営判断が下されました。
第3の要因は、施設の老朽化と大規模改修コストです。新築店舗と比較して客室設備の更新や耐震・省エネ対応に必要な投資額が嵩む中、駅前拠点への一本化が合理的と判断されました。
なお、営業終了後の跡地・建物については、ホテルとしての再活用ではなく、テナントビルや周辺不動産としての利活用・解体を含めた検討が進められており、古町通・本町通周辺の都市再生プロジェクトの一環として街並みの変化が進んでいます。