Q1:江戸時代の箱枕で横向きに寝ることはできたのですか?
A1:極めて困難でした。横向きになると顔の側面が枕に接触し、日本髪の「鬢(びん)」の張り出しが潰れて形が崩れてしまうためです。当時の女性や身だしなみを重んじる男性は、ほぼ一晩中「仰向け」のまま静止して寝ることが美徳とされ、寝相の悪さは厳しく躾けられました。
Q2:箱枕の上のクッション部分(あづち)は何でできていたのですか?
A2:布袋の中に蕎麦殻、籾殻、綿、あるいは海綿状の繊維を詰めたものが一般的でした。このクッションは「あづち(的)」と呼ばれ、木箱に開けられた穴に紐を通して固定されており、擦り切れたり汚れたりした際にはクッション部分だけを取り替えて使い続けることができました。
Q3:なぜ現代の枕は江戸時代のように高く硬い木製ではなくなったのですか?
A3:明治時代の「断髪令(散髪脱刀令)」によって髷を結う習慣がなくなり、髪型を固定して寝る必要がなくなったためです。頭部全体を包み込んで体圧を分散し、頸椎への負担を減らす綿や羽毛などのクッション枕へと急速に進化していきました。