医学的な直接の相関はないものの、近年、発達行動小児科学やギフテッド教育の現場から、知的能力の高さと夜尿症の遷延(長引くこと)に一定の重複が見られるケースが注目されています。その中心にある概念が、知能と身体の発達が揃わずにズレて進む「非同期発達(Asynchronous Development)」です。
卓越した論理的思考力や高い言語知能を持つギフテッド児や、強い探求心を持つADHD(注意欠如・多動症)傾向のある子どもは、大脳皮質の認知領域が飛び抜けて発達する一方で、排泄や睡眠リズムを司る脳幹・視床下部などの原始的な自律神経領域の発達が標準ペース、あるいはややゆっくりというギャップを抱えがちです。
データが示す通り、とりわけADHDを抱える子どもでは、前頭葉と線条体を中心とする神経伝達系(ドパミンやノルアドレナリン)の働きに偏りがあるため、夜間の抗利尿ホルモン分泌抑制や膀胱知覚のフィードバックが遅れ、夜尿症の併発率が通常より跳ね上がることが疫学調査で判明しています。
日中は並外れた語彙力で大人顔負けの議論ができる子どもが、夜になると幼児と同じようにおねしょをしてしまう。この極端な落差が、周囲の大人に「天才の奇行」「何かしらの特別な才能の裏返し」という印象を植え付ける主因となっています。