地球温暖化に伴う海水温の上昇や海洋酸性化、深刻化する乱獲により、世界の水産資源はかつてない危機に瀕している。国連が掲げるSDGsの文脈においても、持続可能な海洋資源管理は最優先課題の一つだ。こうした中、水産庁をはじめとする行政機関も、近畿大学のバイオロギング技術や回遊ルート予測モデルを政策決定の重要なエビデンスとして活用し始めている。
獲る漁業から「育てる漁業」への完全な構造転換。これは単に市場へ魚を供給するだけでなく、乱獲によって壊れかけた海洋生態系を休ませ、自然の回復力を取り戻すための防衛策でもある。海洋生物学の精緻なフィールドワークに裏打ちされた近大のアプローチは、環境保護と産業発展という二律背反を乗り越える唯一の現実解として国際機関からも評価が高い。