坊がネズミの姿に変えられてしまった直接のきっかけは、湯婆婆の双子の姉である銭婆(ぜにーば)が放った魔法です。
ハクが銭婆から盗み出した「魔女の契約印」を取り戻すため、銭婆は紙の人型(式神)を操って油屋の最上階にある湯婆婆の私室へ侵入します。そこで居合わせた坊に対し、銭婆は「少し姿を変えましょう」と指を鳴らして魔法をかけました。この瞬間、巨体の坊はぽっちゃりとした小さなネズミ(坊ネズミ)へと変貌を遂げたのです。
銭婆が坊をネズミに変えた理由は、単なる嫌がらせや攻撃ではありません。過保護すぎる環境で甘やかされ、自分の足で歩くことすら知らなかった坊に対し、「小さく無力な存在になることで、外の世界を知りなさい」という戒めと教育的配慮が込められていました。同時に、湯婆婆の手足となって動いていた使い魔「湯婆鳥(ゆばーどり)」も、ハエのように小さな鳥「ハエドリ」へと姿を変えられています。