警察庁が公表する統計データによると、全国の警察が取り扱った死体のうち、身元が判明しないまま捜査が継続される事例は年間でおよそ1,000件前後にのぼります。これらは山林や海岸、河川敷だけでなく、都市部の集合住宅や路上など、日常のすぐ隣にある場所で日々発見されています。
これほど多くの遺体が特定できない背景には、地縁・血縁が断絶した生活困窮者や孤立生活者の増加が深く関係しています。誰とも連絡を取らずにアパートの一室で息を引き取るいわゆる孤独死の現場では、免許証や保険証といった身分証明書が見当たらず、契約名義と実際の居住者が一致しないケースも珍しくありません。
所持品がなく、生前の足取りを証言してくれる知人も周囲にいない場合、発見された遺体は即座に「身元不明事案」として扱われます。かつては家出人や行旅者が中心でしたが、現在は都市型孤立死による身元不明事案の割合が増加傾向にあります。