エアコンをつけるたびに咳が出る場合、最も迷うのが「一体どこの病院に行けばいいのか」という点です。結論から言えば、エアコンのカビによる咳は何科を受診すべきか迷ったら、耳鼻咽喉科や一般内科ではなく、専門設備と専門医が揃う呼吸器内科を迷わず選択してください。耳鼻咽喉科は上気道(鼻や喉仏周辺)の専門であり、気管支や肺胞といった下気道の微細な病変を特定するには呼吸器の専門診療が欠かせないためです。
具体的な呼吸器内科の受診目安としては、以下の自覚症状が3つ以上当てはまる場合、速やかな専門受診が推奨されます。
- エアコンの風を浴びると乾いた咳(コンコンという痰の絡まない咳)が発作的に出る
- 咳が2週間以上続いており、市販薬を服用しても全く改善しない
- 夜間から早朝にかけて咳き込みで目が覚める、または横になると息苦しい
- 自宅にいる時だけ咳が悪化し、外出先や職場では比較的楽になる
- 微熱(37度台)や全身のだるさを伴い、深呼吸すると胸の奥に違和感がある
受診時の確定診断において威力を発揮するのが、エアコンカビのアレルギー血液検査と高分解能CT(HRCT)です。血液検査では、真菌に対する特異的IgE抗体価(クラドスポリウム、アスペルギルス、アルテルナリア等)を測定するほか、夏型過敏性肺炎が疑われる場合は抗トリコスポロン・アサヒ抗体の有無をスクリーニングします。さらに、肺胞の炎症度合いを把握するために間質性肺炎の血清マーカーであるKL-6やSP-Dを測定し、聴診器で深吸気時に「パチパチ」「バリバリ」と聞こえる捻髪音(ベルクロラッセル音)がないかを精査します。これらの一連の検査により、気道が狭くなる「咳喘息」なのか、肺胞自体が炎症を起こす「過敏性肺炎」なのかを正確に識別することが可能となります。