鳥類に関する最大の誤解といえるのが、「オカメインコ」の存在です。名前に堂々と「インコ」と冠されているため、多くの人はセキセイインコやボタンインコの仲間だと信じ込んでいます。しかし、オカメインコ(学名:Nymphicus hollandicus)は分類学上、れっきとした「オウム目オウム科」に属する正真正銘のオウムです。
オカメインコの頭部を観察すると、感情によってピンと立ち上がったり寝たりする立派な冠羽が確認できます。頬のオレンジ色のチークパッチに目を奪われがちですが、骨格構造、羽毛の性質、そして行動様式に至るまで、オカメインコはオウム科の遺伝的特徴を完璧に受け継いでいます。事実、彼らは「世界で最も小さいオウム」の一つとして分類されています。
では、なぜ名前に「インコ」と付けられてしまったのでしょうか。事の発端は明治時代に遡ります。日本に初めてこの鳥が輸入された際、当時の鳥商や愛好家たちは、オカメヒョットコに似た愛嬌のある顔立ちから「阿龜(オカメ)」と名付けました。しかし、当時輸入されていたオウムといえばキバタンなどの大型で白色の鳥が主流だったため、体長30センチメートル前後と小柄でおとなしいこの鳥を「インコの一種だろう」と大雑把に捉え、「オカメインコ」と命名して定着させてしまったのです。
これとは正反対の逆転現象も起きています。南米の熱帯雨林に生息する「コンゴウインコ(スミレコンゴウインコ等)」は、全長が1メートル近くに達し、体重も1キログラムを超える巨躯を誇ります。一般的な大型オウムを遥かに凌ぐ圧倒的な体格を持ちながら、頭部に冠羽がなく、鮮やかな原色を身にまとっているため、彼らは「インコ科」に分類されます。「大型=オウム」「小型=インコ」という直感がいかに生物学的な事実から乖離しているかを物語る典型例といえます。