ネット上の簡易メイキングやSNSのTipsで頻繁に見かける手法に、「口角の両端に黒い点や三角形を描き足すと引き締まる」というものがあります。しかし、これを盲信してどんな構図でも口角に濃い黒ポチを描き込んでしまうのは極めて危険な作画ミスを生む原因となります。
口角の影(モディオルスと呼ばれる筋肉の結節点)は、真横からの強い直射日光が当たっている場合や、正面からのフラットな光の下では、ほとんど影として現れません。光の方向を無視して機械的に黒ポチを配置すると、鑑賞者の目には「口の端に何かの汚れが付着している」「口角炎を起こしている」ように見えてしまい、キャラクターの美観を著しく損ないます。
影は常に光源の対角線上にしか生じません。口角を強調したい場合は、単純に黒い点を置くのではなく、上唇のラインを口角に向かってスッと消え入るようにフェードアウトさせ、そのすぐ外側に皮膚のわずかな巻き込みを示す極薄いスキントーンの影を落とすのが、真に洗練されたプロの処理です。