大東氏がなぜ凶弾の標的となったのか――その謎を解く決定的な鍵となったのが、事件から2年以上が経過した2016年3月に王将フードサービスが公表した「第三者委員会調査報告書」です。調査報告書には、飲食業界を揺るがす戦慄の事実が克明に記録されていました。
報告書によると、餃子の王将は1995年頃から、創業家と個人的な繋がりのあった福岡県内の不動産会社を経営する「A氏」率いる企業グループとの間で、巨額の不動産売買や資金貸付など極めて不透明な取引を反復していました。その総額は約260億円にのぼり、最終的に約170億円が回収不能の損失として焦げ付いていたのです。
2000年に社長へ就任した大東氏は、巨額の負債を抱えて経営危機に瀕していた王将を救うため、自ら先頭に立って経営再建に着手しました。その過程で避けて通れなかったのが、A氏グループとの不正な資金還流の完全遮断です。大東氏は社内改革を断行し、不透明な関係の解消と債権回収を粘り強く推進しました。報告書によれば、2012年11月には、A氏側との間で残余の債権債務関係を完全に清算する合意書が締結され、王将側は「縁切り」に成功したかに見えました。
しかし、裏社会や不透明な資金に依存していた勢力にとって、長年にわたり湯水のように資金を吸い上げることができた巨大な財布を一方的に奪われることは、決して看過できない事態でした。警察関係者や企業危機管理の専門家は、「大東社長が進めた毅然たる反社会的勢力・不透明勢力との絶縁プロセスこそが、利権を断たれた側の強烈な怨嗟を買い、凶行の引き金となった」と分析しています。