これまで数多く作られてきた地域振興を目的とする映像作品は、往々にして観光PRビデオの延長線上にとどまりがちだった。美しい景色を並べ、特産品をアピールし、無難な感動でパッケージする。だが本作は、その安易な構造を真っ向から拒絶した。東宝のプロデューサー陣と文化庁が連携した助成スキームにおいて掲げられたのは、「美談で飾らない真実の地方」を描くことだった。
過疎化が進む山間部の冷え切った空気、過疎集落に残る濃密な人間関係の摩擦、そしてそこでしか生きられない人々の孤独。従来の地域創生ドラマという甘美な枠組みを破壊し、骨太な人間ドラマとして構築したからこそ、本作は観客の魂を激しく揺さぶる。綺麗事のない地方のリアリティが、世界中の視聴者が抱える普遍的な孤独と共鳴したのだ。