決戦当日、東京・虎ノ門のホテルオークラの一室で繰り広げられた光景は、戦後政治史における屈指の人間ドラマとして記録されている。本会議場へ向かい不信任案に賛成票を投じようとする加藤紘一を、宮沢喜一派の流れを汲む若手議員たちが力尽くで制止した。その中心にいたのが、後の総裁となる谷垣禎一や菅義偉らだった。
この劇的な攻防を克明に記録したNHKスペシャル『永田町・権力の興亡』は、政治ジャーナリズムの傑作として語り継がれている。密室での怒号、血走った眼差し、そして無力感に項垂れる加藤の横顔。現在ではNHKオンデマンドのみならず、政治ドキュメンタリーの潮流の中でNetflixなどの世界的な権力ドラマと比較分析されることすらある。映像が映し出したのは、高い理想を掲げながらも最後の一歩を踏み切れなかったエリートの決定的な挫折だった。