「この水を飲めば、1年長生きできる」——地元・山口県で古くからまことしやかに語り継がれてきた伝説がある。水汲み場には今も、特製の給水タンクを手にした人々が絶え間なく訪れている。では、この長寿伝説の根拠はどこにあるのだろうか。
由来を紐解くと、室町時代の開墾伝説に行き着く。長者・林太夫がこの地を開拓する際、水不足に苦しみ、弁財天に一心に祈りを捧げたという。すると夢枕に弁財天が現れ、「この地を掘り、神を祀れ」とお告げを下した。その通りにすると、冷涼な水がこんこんと湧き出たという伝承だ。古来、人々はこの水で喉を潤し、病を遠ざけてきた。ミネラル分が豊富で弱アルカリ性の水質が体に優しいのは確かだが、伝説の真相は、厳しい自然と共に生きてきた人々の感謝と信仰の念が「長寿の噂」となって受け継がれたものだろう。