長年、第一線で強烈な悪役を演じ続けてきた彼だが、カメラの回っていない撮影現場で見せる素顔は、スクリーン上の凶暴さとはまったく対照的だ。当時の現場を知る映画関係者はこう証言する。「画面では恐ろしい暴力性や冷徹さを表現していましたが、カットがかかった瞬間に見せる笑顔は誰よりも温かく、若いスタッフにも常に気配りを絶やさない紳士でした」。
長年培われた演技の引き出しの深さと、作品に対するたゆまぬ真摯さを振り返ると、その妥協のないアプローチが浮き彫りになる。悪役を単なる記号として演じるのではなく、その人物が歩んできたバックボーンや心の葛藤までを綿密に組み立てて現場に臨む——この徹底した役作りこそが、数々の名作ドラマや映画で異彩を放つ名演技の源泉であり、現場の監督やプロデューサーたちから長年絶大な信頼を寄せられた理由でもある。