農林水産大臣の権限は、省内の人事や予算執行にとどまりません。農林水産省組織図を概観すると、大臣官房をはじめ、消費・安全局、輸出・国際局、農産局、畜産局、農村振興局といった本省部局に加え、外局として林野庁と水産庁を直轄下に置いています。全国7つの地方農政局を束ね、農業生産から森林保全、海洋水産資源の管理まで、管轄領域は国土面積の過半に及びます。
閣僚としての法的主導権において特筆すべきは、食料・農業・農村基本法に基づく「食料安全保障指針」の策定権や、緊急時における輸入・生産・流通に関する事業協力を要請・指示する強い権限です。また、副大臣や農林水産政務官は、大臣の意向を受けて地方自治体や営農現場、国際交渉(WTOや自由貿易協定等)の実務折衝を分担する重要な補佐機能を果たしています。
なお、農林水産大臣の年収は、国会議員としての歳費(約2,100万円)に閣僚給料および期末手当が上乗せされ、年間約2,800万〜3,000万円前後となります。この報酬水準に対して、国民生活の生命線である食料自給と価格安定を担保できるかどうかが、常に有権者から厳しく監視されています。