松田洋治とジブリの原点は、『もののけ姫』より以前の1984年公開作『風の谷のナウシカ』にまで遡る。彼が演じたペジテ市の少年アスベルは、爽やかさと無鉄砲さを併せ持つ印象的なキャラクターだった。当時、宮崎駿監督が求めたのは、作り込まれた「声優的な声」ではなく、十代の少年が持つ生の吐息とリアリティだった。
監督からの高い要求に応え切ったその演技力は、宮崎アニメにおける少年・青年像のプロトタイプを確立したと言っても過言ではない。スタジオジブリという巨星の黎明期において、松田の存在は間違いなく作品の精神的支柱の一つとなっていた。