勝新太郎が主演を務め、世界的にも知られる傑作『座頭市』シリーズは、日本映画史に燦然と輝く金字塔だ。ダイナミックな殺陣と独特の美学は時代劇の概念を覆し、世界中の映画ファンを魅了した。独立して立ち上げた勝プロダクションでは、従来の型にハマらない革新的な映像表現を次々と生み出していった。
しかし、天才ゆえの奔放な映画作りは巨額の負債をも生むことになる。夫の破天荒な生き方を大らかな愛で包み込み、億単位の借金を背負いながらも笑顔で奔走した中村玉緒の姿は、いまも多くの日本人の記憶に残っている。その過酷な環境のなかで育ったのが長女・奥村真粧美であった。