コンサドーレ札幌の歴史において、厚別公園競技場は単なる一施設以上の精神的シンボルです。しかし、施設運営の現場に目を向ければ、厚別公園競技場の老朽化の真相は極めて切迫した段階に達しています。同競技場が開設されたのは1986年。その後、1989年の「はまなす国体」や1996年の全国高校総体(インターハイ)に合わせてメインスタンド増築やサブトラック新設が行われたものの、基幹構造物の多くは建設から40年近くの歳月を経ており、物理的な損耗が隠せなくなっています。
札幌市が策定した公共施設等総合管理計画や施設個別施設計画のデータによると、外壁コンクリートの中性化や爆裂、屋根鉄骨部の腐食進行、さらには観覧席の座面劣化や雨漏りなど、構造維持のための抜本的な修繕が避けられない状態にあります。加えて、全天候型ウレタン舗装の陸上トラック摩耗も進んでおり、日本陸上競技連盟の第1種公認を継続・更新するためには、定期的なオーバーレイ(再舗装)を含む多額の維持投資が必須条件となっています。
さらに問題を複雑にしているのが、Jリーグが定める「スタジアム検査要項」の基準引き上げです。J1ライセンスを維持・行使するためには、全席個席化、観客席の屋根カバー率向上、十分なトイレ数、ドーピング検査室や記者会見場などの諸室要件、さらにはVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)機材対応といった極めて厳格なハードルが課されています。かつてJFLからJ1昇格を果たした時代の厚別は許容されていたスペックも、現代のプロフットボール基準では大幅な改修を施さない限りJ1公式戦の定期開催が極めて困難なのが実情です。