栄養価が高いと頭では理解していても、箸が止まってしまう最大の原因は「特有のえぐみと渋み」にある。だが調理科学の視点を導入すれば、このクセは一瞬で旨味のブースターへと変換できる。苦味を抑え込み、上品なハーブ調の香りに落ち着かせるアプローチは大きく分けて3つ存在する。
第1の手法は、生食や浅漬けに適した「塩もみ・氷水リセット法」だ。セロリの葉を粗みじん切りにした後、小さじ1/2の塩を振って軽く揉み込み、3分ほど放置する。浸透圧によって苦味成分を含んだ水分が外に排出されるため、これをぎゅっと絞り、冷水に30秒放って水気を切る。この工程だけで細胞壁の角が取れ、青臭さが消え失せて心地よい歯ごたえだけが残る。
第2の手法は、加熱料理のベースを作る「油コーティング加熱」である。セロリの香気成分や一部の苦味成分は脂溶性の性質を持つ。ごま油やオリーブオイル、豚肉から溶け出したラードなどの油脂で葉を高温・短時間で包み込むと、苦味の受容体への刺激が油の皮膜で劇的にマスキングされ、甘辛い醤油ダレと合わさることで濃厚なコクへと転換する。
第3の手法は、大量消費を狙う際の「熱湯10秒ブランチング」だ。沸騰した湯にひとつまみの塩を入れ、葉を投入してわずか10秒で引き上げ、即座に冷水に取る。熱に弱い揮発性のえぐみ成分を湯中に逃がしつつ、鮮烈なクロロフィル(葉緑素)を定着させて鮮やかな緑色をキープできる。