音羽山観音寺といえば、山産の恵みをあますことなく活かした滋味あふれる精進料理だ。お肉やお魚を使わない制限の中で、これほどまでに豊かな味わいと色彩を生み出せるのは、食材の命を丸ごといただくという深い感謝と思想があるからにほかならない。
家庭でも再現できる、住職たちの知恵が詰まった定番の白和えレシピを紹介しよう。
【山寺風・旬菜と豆腐の濃厚白和え】
1. 水切りした木綿豆腐(1丁)をすり鉢に入れ、滑らかになるまでよくすり潰す。
2. 練りごま(大さじ2)、薄口しょうゆ(小さじ1.5)、砂糖(大さじ1)、隠し味に自家製の味噌をほんの少し加える。
3. 茹でたコンニャクや人参、春なら下処理した山菜(ウドやタラの芽)、秋ならサッと炒めた椎茸や柿をあえる。
ポイントは、素材の水分をしっかり切ること。一口含めば、胡麻の香ばしさと野菜本来の甘みが口いっぱいに広がる。
野菜の皮や出汁を取ったあとの昆布も無駄にせず、佃煮やふりかけに仕立て直す。この「始末の心」こそが、観音寺流の食卓を支える最大の極意なのだ。