読者のみならずプロの漫画家やイラストレーターからも「作画の神」と称される最大の理由は、光と影の巧みなコントロールと完璧なデッサン力にあります。服のシワひとつ、指先の角度ひとつに至るまで計算し尽くされた線は、画面の中に確かな質量と空気を生み出します。
『DEATH NOTE』で見せたゴシック調のダークな世界観から、『バクマン。』における日常の細やかな情景描写、さらに『プラチナエンド』の神々しいエンゼルフェザーの描写まで、作品のテーマに合わせて絵柄そのものを有機的に変化させる柔軟性も特筆すべき点です。
2019年に開催された画業30周年記念の原画展「NEVER COMPLETE」のタイトルが示す通り、小畑健の姿勢は常に「未完成であり、もっと上手くなりたい」という探求心に満ちています。豪華画集『blanc et noir』や『NEVER COMPLETE』に収録された原画群を見ても、コピックを用いた超絶技巧のアナログ彩色から、近年のデジタル作画ツールの導入まで、常に最高峰のビジュアルを追求するストイックな姿勢が窺えます。