では、なぜ仲睦まじい夫婦が引き裂かれなければならなかったのでしょうか。七夕物語わかりやすく解説する上で欠かせないのが、結婚後の急激な生活態度の崩壊と、それに伴う天帝の怒りの真相です。
結婚前の二人は、天界でも屈指の働き者として知られていました。しかし、結婚生活が始まった途端、二人は互いの存在に夢中になり、仕事を完全に放棄してしまいます。織姫が機織りをやめたため神々の衣服はボロボロになり、彦星が牛の世話を怠ったため天界の牛たちは病に倒れ、痩せ細って暴れ回る事態に発展しました。
度重なる天帝の警告にもかかわらず、二人が快楽に溺れて職務怠慢を改めなかったため、激怒した天帝は二人を天の川の東西に強制隔離しました。これが彦星と織姫が会えない理由の真相です。つまり、理不尽な引き裂き劇ではなく、社会的責任を放棄したことに対する「懲戒処分」が物語の本質だったのです。
ただし、天帝も決して血も涙もない暴君ではありませんでした。悲嘆に暮れて泣き明かす娘の姿を見た天帝は、「以前のように真面目に働くのであれば、1年に1度、7月7日の夜だけ会うことを許そう」と温情の条件を提示しました。この約束が、現在まで語り継がれる七夕の逢瀬の原点となっています。