視点を日本国内に向けると、さらに興味深い現象が起きている。かつて東京の特定のギャラリー地区に集中していた現代アートのパワーバランスが、一気に地方都市や限界集落へと分散した。
新潟の越後妻有や瀬戸内の離島で培われてきた地域密着型のアートプロジェクトは、2026年に入りさらなる進化を遂げた。地方の廃校や放置された古民家をまるごと買い取り、数ヶ月滞在しながら作品を作り上げるアーティストが急増。都市部のホワイトキューブ(白い壁の展示空間)では決して表現できない「土地の記憶」や「風土の物語」を紡ぎ出している。海外からのインバウンド客も、東京の美術館ではなく、こうした日本のローカルな現場を目指して移動しているのが現状だ。