料理の道に進む前、平野レミは声楽を本格的に学び、歌の世界でプロとして活動していました。文化学院に学んだ後、名歌手・佐藤美子氏に師事。シャンソンに魅せられた彼女は、伝説のシャンソン喫茶「銀巴里(ぎんばり)」などのステージに立ち、美声と豊かな表現力で観客を魅了していました。
1970年には、シングル「誘惑のバイヨン」でレコードデビューを飾ります。当時のジャケット写真に写る彼女は、まさに時代の最先端を行くポップかつコケティッシュなミューズでした。その後、舞台をテレビやラジオへと広げ、TBSラジオのワイド番組で久米宏氏とコンビを組むことになります。
ここで平野レミの天賦のトークセンスが炸裂します。台本を無視して縦横無尽に繰り出されるマシンガントーク、機転の利いた突っ込みは、知性派アナウンサーだった久米宏氏をもタジタジにさせ、深夜・昼間を問わずリスナーの間でカルト的な人気を博しました。このラジオ時代こそが、後の大転換期を呼び寄せる引き金となったのです。