尾崎紀世彦が静かに息を引き取ったのは、2012年(平成24年)5月30日午前0時5分のことでした。享年は69歳。昭和の歌謡界を力強く牽引した巨星のあまりにも早い旅立ちに、列島は深い悲しみに包まれました。
公式に発表された直接の死因は肝臓がんでした。関係者の証言によると、尾崎は亡くなる数年前から体調不良を訴えており、大腸がんの手術を受けるなど入退院を繰り返していました。その後、がんは肺や肝臓へと転移。晩年は東京都港区にある虎の門病院へ入院し、医師団による懸命な治療と緩和ケアを受けながら、静かに病魔と闘い続けていたのです。
豪快で陽気なパブリックイメージを最後まで崩さなかった尾崎は、自らの重い病状を決して公表しませんでした。「ファンに弱った姿を見せたくない」「プロの歌手としてステージ上の完璧な姿だけを記憶していてほしい」という強い美学を貫き通した上での選択でした。