多くの人が疑問に思うのが、「教皇(きょうこう)」と「法王(ほうおう)」の違いや、どちらが正しい表現なのかという点です。結論から言えば、カトリック教会の公式見解としては「教皇」が正式な呼び名です。
歴史的に見ると、「法王」という言葉は本来、仏教用語で「仏の教えを説く者(釈迦)」を指す言葉でした。明治時代に西洋のキリスト教文化が日本に本格流入した際、外国の最高権力者を翻訳する過程で「法王」や「教皇」という訳語が混在して使われるようになった背景があります。
日本のカトリック教会を統括するカトリック中央協議会は、教義上の理由から「教皇」を用いています。カトリック教会側が「教皇」を求める最大の理由は、「法王」という言葉が世俗的な法規範の支配者(法律の王)と混同されやすいのに対し、「教皇」は教義を教え導く宗教的指導者の立場を的確に表しているためです。1981年に当時のヨハネ・パウロ2世が来日した際、教会側はメディアに対して「教皇」を使ってほしいと要望を出していました。