彼を語る上で欠かせないのが、世界的なカルト的人気を博した前作『サイレント・レガシー』の存在だ。言葉を削ぎ落とした静寂の演出と、一瞬の暴力的なカット割りによって観客をスクリーンの奥へと引きずり込んだ同作は、独立系映画として公開されながらも海外の映画祭で作品賞を含む主要部門を総なめにした。興行的な成功だけでなく、評論家からも絶賛を浴びたことで、彼の名は世界的名匠たちの列に並ぶこととなった。
『サイレント・レガシー』で見せた一切の無駄を排除したストーリー展開と、登場人物の微細な感情の揺れを捉えるカメラワークは、今や彼の代名詞となっている。しかし本人は当時のインタビューで「あれはまだ序章に過ぎない」と静かに語っていた。前作で確立した独自の映像美学が、今回の超大型予算を得てどのように進化を遂げるのか。世界中の映画ファンがその瞬間を首を長くして待っている。