二人の物語の原点は、1970年代半ばの青山学院大学音楽サークル「AFT(のちにベター・デイズ)」にある。当時から卓越したリズム感と類いまれなボーカルセンスを放っていた青年・桑田佳祐は、クラシックピアノの確かな素養を持ちながらエリック・クラプトンなどの洋楽ロックを巧みに弾きこなす原由子の才能に瞬く間に魅了された。
当初は複数のバンドでセッションを重ねていたが、原の類まれなコード感とアレンジ能力が桑田の型破りな楽曲構成に見事な調和をもたらす。彼女の存在こそが、のちにサザンオールスターズとして世に出るサウンドの決定打となった。単なるバンド仲間から生涯の伴侶へと歩みを進める過程で、二人は音楽という共通言語を通して互いの精神的な核を共有していったのである。