「ここで挑戦をやめるわけにはいかない」――寛平の強い熱意を受け、日米の医療チームはアースマラソンを完走させるための特別な治療計画を立案しました。それが、アメリカにおける最先端医療技術を活用した治療とトレーニングの並行です。
採用されたのは、がん細胞の増殖を抑えるホルモン療法と、患部へピンポイントに高線量を照射できる強度変調放射線治療(IMRT)でした。正常な組織へのダメージを最小限に抑えつつがんを狙い撃ちできるこの放射線治療を、寛平は毎日のように通院して受け続けました。
治療の副作用による倦怠感や筋力低下、さらには精神的なプレッシャーと戦いながらも、治療期間中すらランニング練習を一切やめませんでした。「走ることが生きがいであり、病に打ち勝つ力になる」という信念のもと、約2か月間にわたる放射線治療を耐え抜き、2010年夏、再びユーラシア大陸のランニングルートへと復帰を果たしたのです。