長きにわたり、車内のカスタマイズといえばオートバックスセブンをはじめとするカー用品専門店が主導権を握ってきた。黒を基調としたカーボン調のパネル、青白く光るLED照明、独特の芳香剤。それらは確かに「クルマ好き」の心を掴んできたが、同時に一般的なドライバーやファミリー層にとっては、やや敷居が高く無機質な世界でもあった。
そこに風穴を開けたのが、小売業の巨人である無印良品だ。日常の暮らしの延長線上にあるナチュラルな質感と、徹底的に計算されたモジュール設計。従来のカーアクセサリーが「車のメカニズム」に寄り添っていたのに対し、無印のアイテムは「車内で過ごす人間」の心地よさに焦点を当てている。この視点の転換こそが、既存の市場構造を静かに揺るがしている要因に他ならない。