長年愛される巨大IPのバトンを引き継ぐことは、制作スタジオにとって極めてリスクの高い挑戦である。2020年に放送された『ひぐらしのなく頃に業』および続く『卒』は、その最たる例といえる。
当初はリメイク作として発表されながら、ストーリーが進むにつれて完全新作の続編であることが明かされるという仕掛けは、世界中の視聴者を驚愕させた。パッショーネはこの重厚なサスペンス劇において、キャラクターデザインの渡辺明夫による柔らかい画風と、突如訪れる残酷な描写とのコントラストを完璧にコントロールした。
視覚的ギャップがもたらす恐怖演出
明るい日常風景から一転して狂気へと落ちていく演出において、色彩設計と撮影効果の果たす役割は大きい。パッショーネのスタッフは、昭和末期の地方集落という閉鎖的な空間を、光の角度や影の落ち方に至るまでリアルに描き出した。新旧ファンを巻き込んだ議論の嵐は、彼らの映像表現力が観客の感情を揺さぶった何よりの証拠だ。