2010年代以降のアニメ業界において、「日常系アニメ」というジャンルは一種の飽和状態を迎えていた。その中で『のんのんびより』が突出した評価を得たのは、田舎の過疎化や分校の少人数制という、ある種のシビアな現実を背景に据えながらも、それを決して悲壮感漂うものとして描かなかった点にある。
いつかは誰もが大人になり、分校を去る日が来るかもしれない。作中では明言されずとも、視聴者は常にそのほろ苦い予感を抱きながら画面を見つめていた。だからこそ、最終回で描かれた「いま、ここにある時間」の尊さが胸に突き刺さる。永遠ではないからこそ美しいという真理を、この作品は説教臭さ皆無の軽やかな筆致で描き切ったのだ。