健康被害を正しく評価する上で最も重要な基準が、「実際にどれだけの量を口にしているか」という摂取量の観点です。
世界保健機関(WHO)は、心血管疾患リスクを予防するため、トランス脂肪酸の摂取量を「総エネルギー摂取量の1%未満」に抑える目標を掲げています。成人の1日あたりの摂取エネルギーを約2,000kcalと換算した場合、約2gに相当します。
内閣府食品安全委員会の調査によると、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は総エネルギー摂取量の約0.3%(1日あたり約0.6〜0.7g)にとどまっています。欧米諸国のように主食がパンや揚げ物中心で、日常的に大量のショートニングやマーガリンを消費する食習慣とは異なり、日本人の平均的な食生活ではWHO基準を大幅に下回っています。
現代の日本において本当に注意を払うべきなのは、食パンに塗る少量のマーガリンではなく、菓子パン、スナック菓子、揚げ油の使い回し、ジャンクフードの過剰摂取による脂質全体の摂りすぎです。特定の一品を極端に恐れるよりも、日々の栄養バランス全体を俯瞰することが動脈硬化や生活習慣病予防の確実なアプローチです。