映画の序盤、ゾウ専用のアイスクリーム店「ジャンボ・スロット」でニックに連れられて登場するフィニックは、誰が見ても無力で無邪気な「ゾウの赤ちゃん」そのものです。体の何倍もある巨大な象のフード付きロンパースを着用し、大きなつぶらな瞳で見上げる仕草や、長い鼻を模した袖をパタパタと振るアクションは、あざといまでの可愛らしさを誇ります。
ところが、アイスを転売する詐欺ビジネスが成功した瞬間、その愛らしさは鮮やかに裏切られます。バンの中でサングラスをかけ、葉巻のようなものをくわえながら「テメエ、今度鼻を触ったら噛みちぎるぞ!」と吐き捨てる姿は、見た目年齢を完全に裏切る筋金入りのベテラン詐欺師そのものです。この一瞬で天使から裏社会のボスへと切り替わるコントラストが、映画ファンの心を鷲掴みにしました。