厳格な景観保護が求められる富士箱根伊豆国立公園。その手つかずの自然が残る崖地に、まるで空中へ飛び出すかのように建てられたこの宿は、かつて学者たちの研究拠点として作られた歴史を持つ。斜面を傷つけることなく寄り添う構造は、自然環境と建築が奇跡的な調和を果たした姿だ。
全面ガラス張りの壁面からは、時間帯ごとに表情を変える自然のドラマがダイレクトに飛び込んでくる。朝の光が海面を黄金色に染め上げる瞬間から、茜色に染まる夕刻、そして満天の星が降り注ぐ夜へ。障壁を極限まで取り払った空間で、地球の鼓動を肌で感じることができる。